県のシンボル・ライチョウに迫る絶滅の危機 「実はライチョウは絶滅危惧種なんです」と語るのは大町山岳博物館の清水さん。長野県のシンボル・県鳥であり、特別天然記念物でもある「ニホンライチョウ」の数が年々減ってきているというのだ。元々ライチョウの数は推定3000羽とされてきたが、今では2000羽もいないと言われているそう。現在、ニホンジカやニホンザルがエサである高原植物を求めて高山までやって来たり、里にいたチョウゲンボウやホンドギツネが脅かしに来るようになった。また地球温暖化が進むことにより、高山の寒冷環境を好むライチョウが生息できる地域を狭めていることが原因とされている。県内でも北アルプスや南アルプス周辺の高山でライチョウの姿が見られるが、特に南アルプスで数が少なくなっているそうだ。そんな現状から「なんとかして貴重な野生動物を守って増やしたい」と、大町山岳博物館では、ライチョウの卵を低地で孵化させ、飼育して山へ戻すという低地飼育が行われている。 また、大町山岳博物館に併設されている付属園（動植物園）では、さまざまな理由で野生では生活できない動物たちを保護・飼育しており、ライチョウ同様に長野県のシンボルの県獣で、特別天然記念物でもある「ニホンカモシカ」が飼育されている。国の特別天然記念物に指定されているが、山国信州では少し山に入るだけで見られるほど身近な動物になってきている。

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大町山岳博物館 昭和26年に誕生した「岳のまち・大町」にふさわしい日本初の山岳をテーマとする博物館。「北アルプスの自然と人」をメインテーマに山岳文化と人とのつながりを探求する。 山の動物図鑑 人間が住む場所とはまるで違う自然条件の厳しい世界で過ごしている山の動物。それぞれの特徴を生かしながら餌を得て暮らしている。そんな個性豊かな動物たちを紹介する。 ニッコウムササビ 科／リス科 分布／低山帯 針葉樹などの大木の洞に巣をつくり、樹上生活を送る夜行性の動物。顔の左右には特有の白い模様「白もん」がある。前足と後ろ足の間にある「飛膜」と呼ばれる膜を広げて、グライダーのように飛ぶことができる。 ニホンカモシカ 科／ウシ科　 分布／低山帯～高山帯 全身を白や灰、灰褐色の毛衣に包み、頭にはメス・オス同様に湾曲した円錐形の角を持つ。足裏の蹄を使い、足場の悪い岩場やアルプスの稜線に佇む姿も見られる。 ホンドタヌキ 科／イヌ科 分布／平地～亜高山帯 顔の目の周りの黒い模様と灰褐色のずんぐりした体つきが特徴で、体毛は夏と冬に換毛する。平地から標高2000ｍ超まで多様な環境で生息し、身を隠せる広葉樹林の下草が密生した場所も好む。足は遅いが、泳ぎは達者で木登りもできる。 オコジョ 科／イタチ科 分布／亜高山帯～高山帯 イタチのなかまで一般に胴長短足であるが、オコジョの後ろ足は比較的に長く、強力な跳躍力がある。1年に2回換毛をし、夏は背側が茶色で腹側が白いが、冬は全身真っ白になる。気性が荒く、自分の体より大きいノウサギなどを捕食することも。 ツキノワグマ 科／クマ科 分布／低山帯～高山帯 主に夜行性で毛衣は黒く、胸部に三日月形やアルファベットの「Ｖ」字状の白い斑紋が入っている個体もいる。夏季には標高3000m付近の場所でも生活するが、冬季になると標高の低い場所へ移動する。ヒグマより体長は小ぶり。 ホンドキツネ 科／イヌ科 分布／平地～亜高山帯 体色は赤みがかった黄色でいわゆる「きつね色」の美しい毛皮を持つ。腹部、頬、尾の先は白いのが特徴。草原と森林が入り組んだような環境を好み、森林に接する農耕地などに出てくることもある。 オオルリ 科／ヒタキ科 分布／低山帯～亜高山帯 コマドリ、ウグイスとともに日本三鳴鳥のひとつ。山地や丘陵に生息し、特に渓流沿いのよく茂った森林に多く、朗らかにさえずる。オスは鮮やかな瑠璃色が特徴。 アカゲラ 科／キツツキ科 分布／低山地から亜高山帯 広葉樹林や針葉樹林、混交林に生息し、身体の色が黒、白、赤の3色からなる鳥類。黒い背中にある逆八字形の大きな白い斑点がよく目立つ。鋭い声で「キョッキョッ」と鳴く。 ヤマドリ 科／キジ科 分布／低山帯～亜高山帯 森林や藪地に生息し、スギやヒノキからなる針葉樹林や下生えがシダ植物で繁茂した環境を好む。淡い褐色地に黒色と褐色の横縞模様がある。メスは尾が短く楔形をしているが、オスでは尾が極めて長く90cmになるものもいる。 ライチョウ 科／ライチョウ科 分布／亜高山帯～高山帯 標高2000ｍ以上のハイマツ帯などに巣をつくり、北アルプスや南アルプスと、周辺の高山で見られる。夏は褐色、冬は純白と季節によって羽毛が生えかわる。足にも羽毛があるのが特徴。 フクロウ 科／フクロウ科 分布／低山帯、亜高山帯 顔を縁取るハート型で灰褐色の羽毛が特徴的。夜行性のため、昼間は木の横枝などでほとんど動かず休息している。木の枝で待ち伏せて音もなく飛び、獲物に飛びかかることから「森の忍者」といわれることがある。