長野県は移住先としても注目される県。宝島社が発行する「田舎暮らしの本」では2006年から実施している「移住したい都道府県ランキング」で、19年連続（2025年2月号まで）１位と人気の高さを誇る。本州のほぼ中央にあり、東京や大阪、名古屋の３大都市圏からのアクセスが良いこと、豊かな自然や身近で楽しめるアウトドアレジャーなどが人気の理由のようだ。移住したくなる長野県の魅力や、移住について考えてみよう。 そもそも移住とは？ 移住とは、言葉の意味からすると、現在の住まいとは別の場所に住むことだが、実は全国で統一する明確な定義はなく、自治体ごとに異なるという。 長野県では「県外から新たな生活の場を求めて、自らの意思により県内に転入した方（ただし、Ｕターン就職者、配偶者が県内の結婚転入、数年で転出の予定がある方を除く）」とある。 移住することになれば、住まいはもちろん、仕事のこと、子育てや学校のことも考える必要がある。そこで長野県庁１階にある「信州暮らし推進センター」でアドバイスをいただいた。 長野県の「信州暮らし推進センター」が相談窓口に 移住の情報を集めるには、自治体のウェブサイトや、移住した人が発信するSNSも参考になる。 しかし「実際に足を運んで聞いてみたい」という人には、2024年4月に新設された「信州暮らし推進センター」がおすすめ。長野県庁１階という利用しやすい場所にあり、住まいの探し方や、仕事探しのコツなど移住にかかわるヒントがもらえる窓口だ。長野県の移住相談窓口は東京・名古屋・大阪にもあり、各市町村の相談窓口へつないでもらうこともできるので、気軽に利用したい。 移住前の相談会や移住者交流会なども開催しており、移住前後の心強い味方となってくれる。 移住を考えるヒント 「移住」とは「ライフスタイルの変革」であること。移住とひと口に言っても、実は人生の大きなターニングポイントにもなる。そこには、住まいはもちろん仕事のこと、家族がいれば子育てや学校のことも考える必要がある。 そこで「移住もいいな」と考え始めた時の参考に、ココロとアタマを整理する６つのヒントを紹介しよう。 【1】移住の目的を整理する まずは移住の目的から考えてみよう。なぜ移住するのか、移住したら何をしたいのかなど、具体的にまとめてみると良いだろう ○文字にしてみる 移住の目的を文字にしてみると、より具体的に明確な目的が見えてくる ○チェックポイント ☑今の暮らしから変えたいこと、変えたくないこと。 ☑希望の仕事（企業に就職する、起業する、農林業に就くetc…） ☑日常の交通手段（自動車、自転車、バイク、バス、電車、新幹線） ☑家の近くにあったらうれしいもの（スーパー、コンビニ、飲食店、大型ショッピングモール、病院、駅、保育園・幼稚園、小・中学校、高校、郵便局、銀行、温泉施設etc…） 【2】家族と相談する 一緒に暮らす家族やパートナーがいる人は、ひとりで決めずに、よく話し合いをしよう。10年先、20年先のことも考えて、子育てのこと、学校のこと、仕事のことなど、将来について意見を出し合ってみるといい。家族の思いを聞けば、現実的な問題が見えたり、移住先に求める条件が見えてきたりする。 【3】情報を集める 県・市町村のウェブサイトやSNS、パンフレットなどから情報を集めよう。 希望する地域の防災や医療、教育・子育てのサイトも参考に、暮らしの安全安心を確保できる情報を収集してみては。 ※移住情報を調べるにはコチラ また、ウェブ情報だけでなく、生活している人たちの本音の情報を集めるのも大切。長野県や市町村が主催する「移住セミナー・相談会」などのイベントでは、先輩移住者の本音トークが聞ける機会もあり、積極的に参加することをおすすめしたい。 相談窓口は、長野県庁の「信州暮らし推進センター」のほか、東京・名古屋・大阪にもある。 【4】現地に行ってみる 長野県は南北200kmを超える長い県。気になる地域が見つかったら、実際に訪れてみることをおすすめ。可能であれば、現地に数日滞在し、その地で暮らす目線で過ごしてみるのもいい。 ●「移住お試し住宅」のある市町村も 北と南では気候や文化に違いがある長野県。たとえば、スキー場で知られる志賀高原や野沢温泉は北部なので、冬の積雪量が多いエリア。一方、最南端の天龍村は、愛知県と静岡県と接しており、お茶の栽培ができるほど温暖な地域である。 移住を考えるなら、季節による気温や降雪の違いを知るために、夏と冬など、 季節を変えて訪れてみることも大切。夏の涼しさや、冬の寒さだけでなく、温泉が近くてうれしいとか、冬用タイヤの装着時期や雪かきの必要性など、暮らしに伴う便利なことや、生活に必要なモノ、コトが見えてくるはず。 「移住お試し住宅」を提供している市町村もあり、滞在しながら暮らしを体験してみるのもいい。希望地域や市町村にお試し住宅がなくても、宿泊施設やゲストハウスを利用し、観光をしたり、地元の飲食店で食事をしたりして、地域を知るのも移住への第一歩となる。人との出会いを通して、新しい情報につながるかもしれない。 ※お試し住宅を調べるにはコチラ 【5】住まいと仕事を探す 「移住」 「田舎暮らし」と聞くと、古民家リノベーションや起業・創業をイメージするかもしれない。しかし、移住の目的は十人十色。まずは住まいと仕事を探して、生活拠点を見つけよう。 ●住まいはどう探す？ 住まい探しは、一般的な住まい探しと同じ。一戸建てか、集合住宅か、とか田園風景や山に近い場所が良いか、買い物に便利な都市部が良いかなど。希望する条件を上げてみると絞られてくる。 市町村の相談窓口のほか、「空き家バンク」など住宅探しのウェブサイトや、地元の不動産会社の情報などなど、いくつか併用してみるといい。 ●仕事はどう探す？ 住む場所は、就業場所によっても変わってくる。 一般企業に就職するなら製造業、小売業、医療・福祉、建設業、サービス業など業種や職種はさまざま。起業する、農林業に就くという働き方もある。ハローワークで相談してみては。 住まいと仕事を調べるにはコチラ 【6】興味はあるけど…迷っている ●移住イベントに参加してみる 移住に興味はあるけど「今すぐに」というわけではない、という人や「もう少し長野県について知りたい」という人は、移住イベントに参加してみるのもおすすめ。 イベントは、長野県の暮らしをできるだけ明確にイメージし、具体的な地域を知ったり、先輩移住者の話を聞いたりする良い機会となる。 東京・有楽町にある「ふるさと回帰支援センター」では、年間10回程度、 オンラインを含めた長野県の移住イベントを開催している。毎回異なるテーマで開き、これまでには「山」「キャンプ」「冬の暮らし」「子育て・教育」など、長野県の取り組みや魅力を紹介してきた。 長野県のアンテナショップ「銀座NAGANO」や、名古屋・大阪の「移住・交流サポートデスク」でも移住セミナーを開いており、「いつかは長野で暮らしたい」と思える長野県の魅力を発信している。 ふるさと回帰支援センター（長野県：信州暮らしサポートデスク）