明治の長野駅建設 善光寺観光の玄関口として、賑わいを見せるJR長野駅。現在の長野駅は、2015年の北陸新幹線金沢延伸に伴い、大庇と列柱を特徴とする、新駅ビルと一体的に改築された近代的な駅である。しかし、長野冬季五輪が開かれる前年の1997年までは、全国的にも珍しい仏閣型駅舎で、仏都・長野の象徴として親しまれてきた。開設は1888（明治21）年。当時は、長野に鉄道を敷設するにあたり、駅の場所をどこに設置するべきかの議論が巻き起こったという。「善光寺さんに近くては差しさわりがある」「しかし遠くては参拝者に不便をかける」-。そんな意見がくみ交わされた後に「善光寺さんの如来様は阿弥陀様である」「阿弥陀仏の四十八願の中でも特に大きな意味を持つ十八願から十八の数字をいただこう」「善光寺さんから十八丁の位置に長野駅を造ろう」「善光寺さんと差し向かいで建てるのは、恐れ多い」というようなことで、現在の場所に駅舎が造られることになった。ちなみに十八願とは、念仏往生の誓願のことである。阿弥陀様は四十八通りの誓いをたて、その十八番目に南無阿弥陀仏と念仏を唱えるものは極楽浄土に往生させようと誓われた。それが念仏往生の誓願であり、阿弥陀仏の四十八願のなかでも根本の願であることから「王本願」ともいわれている。 善光寺参道は歩いて楽しめる通り 長野駅構内には、「是より善光寺十八」の石碑がある。善光寺参拝の旅の序章として最初に見学をおすすめしたい。長野駅前正面広場に出ると、善光寺縁起に登場する如是姫(にょぜひめ)の像が立つ。長野駅を背に、左手には供物を奉げている。その微笑みの先にあるのが、善光寺本堂である。 駅前の交差点を渡り、表参道へ向かうと「十七丁」石碑がある。中央通りと呼ばれる善光寺参道の通り沿いには、一丁(約110m)ごとに道案内のようにこうした石碑があり、参詣者を善光寺へといざなう。

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  十七丁
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  十六丁
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  十五丁
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  十四丁
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  十三丁
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  十二丁
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  十丁
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  九丁
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  七丁
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  五丁

参道は「歩いて楽しめる通り」をコンセプトに、一茶句碑やヒノキ灯籠を設置したり、大門交差点以北では車道を石畳敷きにしたりと工夫を凝らしている。少し路地に入れば、古い建物をリノベーションしたカフェなども点在し、善光寺への行き帰りに寄り道しながら楽しめる。 歩きたい街、また訪れたい街になるための街づくりもまた、善光寺を中心に行われている。 ［長野のレジェンド_十八丁石］ 阿弥陀如来の四十八願の第十八願「王本願」にちなみ、善光寺と長野駅を結ぶ、長野中央通り沿いに1丁（約110m）間隔で並ぶ石碑。道しるべのように長野駅から善光寺に向かって続いている。駅構内の十八丁石は2003年の御開帳の時に、表参道沿いにある石は1997年の御開帳の時に設置された。形も大きさもさまざまで、写真は善光寺交差点付近にある三丁石。数えながら往来すれば善光寺での願かけのご利益が増すかもしれない。