何もなかった町が憧れのまちへ 北斎館一帯の町並み修景が行われたのが、1982（昭和57）年。地権者である栗菓子店、銀行、高井鴻山の隠宅を持つ行政、そこに住む個人が共同し、「群居の姿勢」で創り上げた町並みだ。住民を上げての花の町づくりやオープンガーデンも小布施に魅力を与え続けている。今、新たに動き出しているのが、人と車が共存できる道にしたいと町の基幹道路である国道403号の新しい道づくり。小布施のまちづくりへの人々の憧れは止まらない。

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  小布施町が憧れとともに手本としている、かつての谷街道
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  現在の国道403号沿いの商店の様子。修景事業で美しく整う
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  2000年に38軒から始まった小布施のオープンガーデン

地域住民のまちづくり 全国が注目の美しいまちなみ 小布施には、住む人も訪れる人も惹きつける魅力がある。町並み修景の成功例としても知られる小布施。「外はみんなのもの、内は自分たちのもの」を合言葉に特に力を入れる修景事業は、第一ステージ、第二ステージへと成功しながら時を経て、新しいステージへと進んでいる。約40年前の「町並修景事業」開始時から、地域住民のまちづくりへの意識がかなり高く、画一的な都市開発の手法とは異なり、「小布施方式」といわれ全国的にも高い評価を受けるまちづくりを行ってきた。景観法に基づく景観行政団体となり、2009（平成21）年から実施の「第二町並修景事業」をはじめ、2011（平成23）年に「小布施町国道403号整備デザイン会議」、2016（平成28）年に「小布施町国道403号新しい市庭通りを創生する会」を立ち上げた。修景事業に思いを尽くし、町並みを整備してきたからこその風景に息を呑む、2017（平成29）年に行われたライトアップの催しが印象的だったのは言うまでもないだろう。 2012（平成24）年に初めて行われた「小布施若者会議」では、地方発の新事業モデルを提案。いくつものプロジェクトや交流が生まれ、小布施町に新しい価値をもたらしている。また、再生可能エネルギー資源の豊富な近隣市町村と連携し、同年に「小布施エネルギー会議」がスタート。現在もゼロカーボンやSDGsへの取り組みに積極的だ。この街では、古き良き時代の功を引き継ぎつつも、町民が「小布施らしく」暮らすための新たなステージへと進んでいる。人々を虜にしてきた小布施の街は、これからも輝きを増し続けるだろう。