長野県ができるまで 信州、信濃、科野……、長野県を指す言葉はいろいろあるが、歴史的に見ると最初に使われた名称は「科野」で、その中心・科野国造（みやつこ）は千曲市に置かれたようだ。その証拠に「科野の大王」といわれる森将軍塚古墳が残されている。７世紀になって律令国の科野国が置かれたが、その後「信濃国」に改められた。国司が政務を執り行う場所が置かれた国府は、一般には筑摩郡（松本）にあったとされている。しかし、国府と合わせて置かれる国分寺が上田に発見されたことから、上田にあったという説もある。 江戸時代には11の藩と天領が置かれ、やがて県へと変わる。善光寺を含めた地域は旧天領で中野県が管轄していたが、火災で焼失したため、現在の長野市へ県庁は移り、名称も長野県となった。一方、中南信地域には筑摩県が置かれ、飛騨地域も管轄していたが、長野県と統合された際に分割され、飛騨地域は岐阜県となった。こうして現在の長野県が成立した。 信州の中心にまつわるスポット 県庁所在地を巡って長野と松本が対立していたことはよく知られている。信州全体を統括する県庁が長野に置かれたのは、明治9（1876）年、松本にあった筑摩県庁が火災で全焼したのがきかっけ。同じ年に旧長野県と筑摩県が統合され、現在の長野県が誕生した。しかし、歴史をさかのぼると、ふたつの都市以外にも信州の中心にまつわるスポットが……。 森将軍塚古墳 科野のクニを治めていた王・森将軍の墓と考えられている古墳。発掘調査の結果に基づき正確に復元された全長約100mの前方後円墳には、石が積まれ、埴輪が並べられている。麓の古墳館では出土品や映像解説を見ることができる。 信濃国分寺史跡公園 奈良時代、各国の中心地である国府区域内や周辺に置かれた国分寺。最初の信濃国府が置かれた上田にも国分寺が建立され、その発掘調査跡地が史跡公園となっている。園内には出土した瓦や当時の模型を展示した資料館がある。 旧長野県庁舎 飯綱高原に移築されている旧長野県庁舎。明治41（1908）年の1代目庁舎焼失を機に建てられた。現存する旧県庁舎の建物としては唯一の木造建築で、その造りは県政の威厳を誇示するかのよう。