山の国といわれる長野県の創世記 北アルプス、中央アルプス、南アルプス。標高3,000m級の山々を持つ信州。土地の80％以上は森林という、文字通り長野県は、山の国である。かつて日本列島はアジア大陸の一部だった。やがて日本列島となる部分が大陸から離れ、日本海が生まれ拡大していくとき、本州にあたる部分は中央が裂け、海溝となった。ここが「フォッサマグナ」とよばれる地帯だ。その西縁は糸魚川・静岡構造線、東縁が柏崎・千葉構造線（諸説あり）とされる。長年海の底となっていた地域には砂や泥などが堆積し、逆方向の力が働いて、裂けた島が元の形に戻ろうとするとき、押し上げられて山地を形成した。そのため、西縁の外側にあたる北アルプスが中・古生代の古い地層であるのに対し、内側の筑摩山地などは新第三紀・第四紀の新しい地層となっているのだ。フォッサマグナ地帯では今も名残として海に暮らすものの化石が出土し、神秘の浪漫を後世へ伝える。こうして生まれた長野県の山々は森を形成し、先人たちは、その森を切り拓き、田畑を耕し里山を作り、家を建て、後世へと繋いできた。生活の知恵や山への憧れはやがて、年間約51万人の登山者が訪れる、国際山岳リゾートとして世界に名を馳せている。高層湿原、湿原の泥炭層にできる池沼、池塘、亜高山植物が咲き乱れる高原を持つ信州。長野県が山の国で本当に良かった。 長野盆地 長野市を中心とした盆地で、善光寺平ともよばれる。フォッサマグナの一部を占める低地で、創世は新生代第四紀。中央を流れる千曲川には犀川や裾花川、百々川、松川、夜間瀬川などの河川が合流。扇状地を発達させている。 佐久盆地 佐久平ともよばれる、佐久市を中心とした盆地で千曲川の上流域に位置する。北を浅間山連峰、東と南を関東山地、西を八ヶ岳連峰で囲まれ、北部は浅間山の、西・南部は八ヶ岳連峰の噴火により形成された台地状の平地である。 諏訪湖 糸魚川・静岡構造線と中央構造線が交差する地にできた湖。中央高地の隆起活動と糸魚川・静岡構造線の断層運動により、地殻が引き裂かれて生じた構造湖であり、その証拠に中央構造線に“ずれ”が見られる。 松本盆地 松本市・塩尻市周辺の松本平および、安曇野市周辺の安曇平からなる盆地。糸魚川・静岡構造線が南北に貫き、西側には北アルプスが、東側はフォッサマグナの褶曲によって形成された筑摩山地がそびえる。 伊那盆地 中央アルプスと南アルプスに挟まれた盆地で、伊那谷ともよばれる。「四つの平」のなかでは、唯一フォッサマグナの外側に位置する。河岸段丘が多く見られるが、天竜川が形成したほか、断層によるものもある。